新たに令和2年4月に配偶者控除などの税制が改正されました。
主婦の方が働く上で、所得税の税率に関係のある扶養控除及び扶養特別控除についての予備知識は抑えておきたいところです。
本記事では、扶養内で働きたい方に向けて、改正内容と確認すべきポイントを紹介します。
配偶者控除対象の要件として給与所得以外の年間の合計給与所得金額が従来は38万円が上限でした。
しかし、令和2年4月現在の最新の改正内容は48万円に条件が引き下げられています。
給与所得の計算式は以下になります。
給与所得=給与収入-給与所得控除
改正により、給与所得控除額が55万円になったので給与所得が103万円以下であれば、特別控除を受けることができます。
上記の103万円は、所得税が発生する基準の「103万円の壁」とも呼ばれています。
一方で納税者の所得税控除額が減額されていく「150万円の壁」もありますので以下で説明します。
「103万円の壁」とは、配偶者本人が103万円を超える所得を得る場合、自身で所得税を納める必要がでてくる年収の基準です。
一定以上の収入を得ていれば103万円を超えてしまっても問題ありませんが、少し超過してしまう程度であると、支払う税金の方が多くなってしまうため注意が必要となります。
「150万円の壁」とは控除を受ける納税者本人の控除額が徐々に減額していく年収の基準です。
合計所得金額は上記計算式で控除額55万円を差し引いた金額になります。
そのため、最初の48万円超95万円以下にそれぞれ55万円を加算すると、103万円超150万円以下となるため、「150万円の壁」の150万円はこの基準から来ています。
詳細は、下記表をご確認ください。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | ||||
---|---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 | 950万円超 | ||
950万円以下 | 1,000万円以下 | |||
配偶者の合計所得金額 | 48万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
配偶者特別控除額についてですが、納税者の年収も関与します。
配偶者の所得が150万円以下であっても納税者の年収が900万円超の場合、900万円以下の38万円より12万円控除額が減額され26万円。950万円の場合、更に半額になるので旦那さんの年収と照らし合わせて控除額がどのくらいかチェックしてみてはいかがでしょうか。
家計にも関わることなので、控除額がいくらなのか自分がどのくらい収入を得ているのかを見直してみるのも良いかもしれません。
出典:国税庁「配偶者特別控除」
出典:国税庁「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
出典:国税庁「配偶者控除」
出典:国税庁「家族と税」
改正したことによる、生活の変化はどの程度あるのかについて、抑えておきたい扶養親族区分などのポイントを紹介します。
扶養の対象者を扶養親族と呼びますが、自分が扶養親族に該当するのかついて確認してみましょう。
扶養親族等の区分 | 合計所得金額要件 | |
---|---|---|
改正後 | 改正前 | |
同一生計配偶者及び扶養親族 | 48万円以下 | 38万円以下 |
源泉控除対象配偶者 | 95万円以下 | 85万円以下 |
配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 48万円超133万円以下 | 38万円超123万円以下 |
勤労学生 | 75万円以下 | 65万円以下 |
扶養内で働く主婦の場合、同一生計配偶者であるため改正後の合計所得48万円以下で働くことになります。
改正点としては、合計所得金額の基準引き下げだけではなく、最低保証額(給与所得控除額)が65万円から55万円に引き下げられているので年間の所得を計算する際は注意しましょう。
出典:国税庁「各種控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正(令和2年分以降)」
収入を増やしたい世帯の場合、扶養控除内となる「150万円の壁」に関わらず、配偶者の方の収入が130万円を超えると社会保険加入負担となるため、160万円以上の年収を目指す方がいいといえます。
しかし、家事や育児と両立するならば長時間働けないため、納税者の収入があるならば扶養控除を受けられる範囲で働くメリットのほうがあるかもしれません。
令和2年度改正の要項をチェックして、生活スタイルに沿った働き方を選ぶことがオススメです。
また、自営業者や個人事業主の配偶者の場合は第一号被保険者であり、サラリーマン家庭のように納税者の社会保険の扶養を受けている被扶養者ではありません。
従って、配偶者控除の枠拡大によって実質的に減税の恩恵が受けられ、より多くの時間を働いてもメリットが得られることに加え、さらに高齢者夫婦で夫婦ともに年金受給者の場合も今回の税制改正の恩恵が受けられます。
反対に納税者が高収入(1120万円超)で、配偶者の方がパートなどで働いている方の場合、税制改正により実質的には税金が多くなるため注意が必要です。
長時間働くことで、収入は多くなりますが家事や育児との両立が難しくなるという人はいるのではないでしょうか。
収入はもちろん大切ですが、子供との時間や家事をする時間の確保は大切です。
扶養控除制度を活用することで、世帯全体の手取りの収入が多くなることもあるので扶養内で働くメリットを活かして働くことも有効といえます。
どんな仕事をしたら良いのかという方におすすめしたい仕事が「ラウンダー」です。
ラウンダーは商品の陳列や販促活動を行う仕事です。
勤務形態も自宅から職場となる販売店へ直行直帰できるような仕事なほか、案件の選び方によって自分の生活スタイルにあった時間、給与を得ることができます。
配偶者控除の改正により、給与所得の条件が引き下げられたことで働きやすく感じ る方も多いのではないでしょうか。
扶養内で働きたい、稼ぐために沢山働きたいというかたも今回紹介した配偶者控除についての知識を持っておくと、どのくらい自分が働くべきなのかの指標になります。
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