子育てがひと段落してパートやアルバイトを始めたいと思ったとき、将来を含めて安心して働き続けられる場所を選びたいと考える主婦の方は少なくありません。
仕事先に求める条件は人それぞれですが、気になるポイントの1つに「社会保険適用の有無」があるのではないでしょうか。
そこで今回は、2022年10月に改正される予定の社会保険適用の範囲や、社会保険適用となるメリットについて紹介していきます。
最近まで社会保険は、主に正社員が対象とされてきました。
ただ、社会保険適用範囲は時代とともに変化しており、パートやアルバイトも適用できるように加入条件が緩和されてきました。
その大まかな流れを、以下で確認してみましょう。
■社会保険適用範囲の推移
年月日 | 適用範囲 |
---|---|
2016年9月30日まで | 所定労働時間が週30時間以上 |
2016年10月1日 〜 2017年3月1日 | ・所定労働時間が週30時間以上 もしくは以下の条件を全て満たす人 1.所定労働時間が20時間以上 2.月額賃金が8.8万円以上 3.雇用期間1年以上の見込み 4.学生以外 5.従業員規模501人以上の企業 |
2017年4月以降 | 従業員規模500人以下の企業について、以下の条件が追加 ・民間企業であれば労使合意に基づいて適用拡大可能 ・国、地方公共団体は適用 |
当初は「所定労働時間が週30時間以上」しか条件がありませんでした。
しかし、特に2017年4月以降は、企業規模に関わらずパートやアルバイトでも社会保険が適用されるような条件に変わってきました。
次項では、パート・アルバイトの方の社会保険適用の可能性がさらに高まる2022年10月以降の改正内容を紹介していきます。
出典:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ。社会保険の加入対象が広がっています」
■適用範囲拡大が与える影響
パート・アルバイトで働く主婦にとって社会保険に加入することは、将来の年金受け取り額の増加につながります。
その他にも、プラスの影響がある変更はいくつかあります。(詳しくは、後述のメリットでご紹介します)
一方、企業側は「短時間労働者」も社会保険の加入対象とすることで、バックアップをする方を増やすことができ、同時に社会全体の貢献にも関与することになるといえます。
2022年10月からの社会保険への加入条件として今までと変わる点は、「雇用期間見込みの短縮」と、「企業の従業員数の緩和」になります。
引き続き変わらない加入条件と合わせて、以下にまとめました。
・週の所定労働時間20時間以上
・賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)
・雇用期間2カ月以上の見込み
・学生でないこと
・従業員規模100人超(101人以上)※2024年10月以降は50人超〜
雇用期間の条件が1年から2カ月に大幅に短縮されたため、会社員と比べると就労期間が短くなりがちなパート・アルバイトでも適用を受けやすくなりました。
また、就業規則、雇用契約書等で、「更新ありの旨」「更新される場合がある旨」が明示されている場合就業規則などで「更新あり」といった旨が記載されている場合、雇用期間が2カ月以内であっても遡って適用を受けることができます。
さらに、従業員規模の条件が100人超に広がったのも、大きな変化といえるでしょう。
2024年10月以降はさらに50人超まで下げられるため、パート・アルバイトとして働く主婦の方が社会保険適用となる可能性はさらに広がります。
出典:厚生労働省「厚生年金_ガイドブック」
社会保険の適用者になると、健康保険料と年金は給料からの天引きとなります。
以下では、社会保険適用となるメリットについてまとめました。
■年金のメリット
厚生年金に加入した場合、国民年金に比べて将来貰える年金受給額が増える可能性が高くなります。
また、病気や怪我などで仕事や生活が困難になった場合も「障害厚生年金」を受けとることが可能です。
さらに、仮に亡くなってしまった場合は「遺族厚生年金」が残った家族などに支給されます。
■医療保険のメリット
健康保険に加入することで、「傷病手当金」や「出産手当」などが支給されます。
また会社の保険制度となるため、健康診断が自動的に受けられるようになり、定期的に健康チェックできるのもメリットといえるでしょう。