調剤薬局事務の仕事の1つに「レセプト業務」があります。
診療報酬に関わる業務のため、専門的な知識やスキルを必要とします。
本記事では、調剤薬局事務におけるレセプト業務の流れ、レセプトの返戻についてご紹介します。
調剤薬局事務におけるレセプト業務とは、保険機関に対して調剤報酬を請求する業務のことを指します。
保険診療を行う医療機関では、患者は保険証を提示することで、医療費の一部を支払います。
作成したレセプト(診療報酬明細書)は、審査支払機関を通じて保険機関に提出され、診療の翌々月21日に残りの調剤診療報酬が各医療機関に支払われます。
ここでは、調剤薬局事務が行うレセプト業務の流れを紹介していきます。
1 患者様の情報入力
まずはレセプトを作成するために、受付や会計を行いながら患者様の情報や処方箋をレセプトコンピューターに日々入力していきます。
診療内容に応じたコードをレセプトコンピューターに入力することで、自動的に診療報酬点数が計算されます。
レセプト業務で最も時間を有するのが入力作業ともいえるでしょう。
2 レセプト作成
それぞれの患者のレセプトを1か月分まとめて、月1回/月末締めで作成します。
日々入力しているデータからレセプトが自動的に作成されるので、入力の間違いがなければ、レセプト作成自体は比較的短時間で行うことができます。
3 レセプト内容の点検・確認
日々の入力作業を正確に行うことは大切ですが、レセプト業務の中で最も重要な作業がレセプト内容の点検・確認になります。
レセプトコンピューターに入力した内容に誤りや不備がある可能性があるため、出力されたデータの情報に間違いはないか、月末から月初にかけて点検・確認を行います。
保険機関に調剤報酬を請求するには、審査支払機関に翌月5日から10日までに作成したレセプトのデータをネットから提出します。
医療機関では月末から翌月10日の間に、レセプト作成から点検・確認、提出まで行うレセプト業務が集中するため、この時期が繁忙期となります。
レセプトに間違いや不備があった場合は、「返戻」と呼ばれるレセプトの差し戻しが発生します。
返戻の原因で一番多いのが保険証の番号や記号の入力ミスで、1文字でも違っているとレセプトはそのままの書式で戻されます。
返戻だけでなく、診療報酬点数の減点が発生してしまう可能性もあります。
返戻されたレセプトには返戻内訳書が添付されており、差し戻し理由が記載されていますので、入力内容を再確認・修正し、レセプトの再請求を行います。
審査支払機関では、レセプトの内容に不備や誤りがないように、厳正な審査を行っています。
再請求で時間がかかってしまうと、診療報酬が支払われるのが1か月以上遅れてしまうため、レセプト提出の際はしっかり点検・確認を行いましょう。
レセプト返戻後の再請求は、令和2年3月分診療分までは3年間、令和2年4月診療分からは原則5年間の提出期限が適用されています。