「ラウンダー」という仕事は、昨今ではパートの主婦の方などを中心に、かなり一般的になってきました。
そうは言っても、具体的にはラウンダーがどんな仕事なのかがよくわからないという方や、中には営業の仕事と混同されている方が多いのも事実です。
そこで、ラウンダーの仕事について簡単にご紹介しつつ、営業の仕事との違いという観点から紐解いていきます。
ラウンダーとはシャンプーや化粧品、健康食品、医薬品などの自社の耐久消費財や食品などを、自社製品の売上をアップさせるために販売店舗に出向きます。
具体的な作業は商品陳列棚のレイアウトに工夫をしたり、自社製品の陳列場所を目立つところにするように、自分が担当する販売店舗の店長や責任者などと交渉をしたりします。
1日の勤務の中で複数の販売店舗を訪問し、売上の状況や店舗に買い物にくるお客様の動向を探ったり、販売店舗の責任者などに自社の新製品情報を伝え、要望を伺ったりもします。
自分が訪問するスケジュールをある程度調整できるので、学校に通っている年齢ぐらいに達しているお子さんがいる主婦の方にもおすすめの仕事です。
また、パートや契約社員という雇用形態が多いのも特徴です。
営業の仕事には営業の種類や仕事内容などによって様々な種類があります。
ただし、どの営業にもほぼ共通することは、営業の仕事は会社の収益を生み出すビジネスを作り出している点と顧客との関係を構築・維持することです。
営業の仕事を種類別に大きく分けると次のようになります。
まず、営業推進する相手によって「法人営業」あるいは「個人営業」に分かれ、
法人営業ではサービスやある程度まとまったロット数の製品を販売する契約獲得のための営業などがあります。
これに対して、個人営業は個人消費者を対象とした営業ですので、個人に商品やサービスを直接売る営業です。
また、新規の顧客を開拓していく「新規営業」、既に取引先となっている顧客との関係維持や継続して契約を取る「既存営業」という分け方もあります。
新規営業とはいわゆる「テレアポ」や「飛び込み営業」などの他、既存の顧客からの紹介、さらに開催したセミナーや展示会、口コミなどを通じて新たに自社商品やサービスに興味をもった見込み客への営業のことです。
新たに興味をもった見込み客には営業担当者がプレゼンや商品の詳細説明などがおこなわれます。
また、相手企業の問題や相談事を聞き、その解決策を提示して契約締結に至る提案型の営業もあります。
次の段階としては、さらに自社商品やサービスに興味をもった相手との質疑応答(クロージング)を経て、注文や契約の手続きをおこないます。
契約が完了した顧客は以後、既存の顧客となりますので、そういった顧客への営業は既存営業になり、自社製品やサービスへのアフターフォローを継続させていきます。
そして継続して購入契約をもらい、最終的にロイヤルカスタマーになってもらえるように関係の維持に努める営業をおこなっていくのです。
営業には他にも不動産や車のディーラーなどに多い反響営業とも呼ばれる「内勤営業」もあります。
これは広告やDMを打った後でそれを見た見込み客からの問合せを受けて営業推進するものです。
このように営業の仕事には取引先や営業推進方法の違いからその内容も異なります。
ラウンダーや営業の仕事についての概要をご説明したところで、営業の仕事との違いをご紹介していきましょう。
ラウンダーは営業と同じ会社に所属し、同じ製品を取り扱ってはいるものの、両者の仕事には、業務上の責任権限の大きさや業務内容に大きな違いが見られます。
営業の仕事では自社製品を販売してくれる小売店側のバイヤーや仕入れ担当者と価格面や仕入れのロット数などを交渉し、値引きや仕入れ条件においてある程度まで決裁権限を持っています。
もちろん一定条件以上は上司や部門、会社の承認を得なければならない場合もありますが、ある程度までは自分の裁量で交渉することができる場合がほとんどです。
さらにラウンダーとの一番大きな違いの一つとしてプレゼンや商品説明を通じて購入意思を示した見込み客と契約を締結したり、発注を受けたりする点が挙げられます。
これに対して、ラウンダーは販売店舗にて自社製品の売上が向上するような工夫や店舗責任者との交渉をし、担当する販売店舗の状況や要望を自社の本部や営業担当者などに報告することがメインとなります。
営業のようにプレゼンや商品説明を担当店舗の責任者に対してはおこなうものの、直接契約を交わしたり、発注を受けたりするということはほとんどありません。また、ほとんどの営業がフルタイムで働く正社員なのに対して、ラウンダーの多くは派遣やパート職であり、1週間の勤務日数もフルタイムよりも就業日数が数日に限定されている場合も少なくないようです。
責任の範囲や権限において大きく異なるのがラウンダーと営業ですが、似ている部分もあります。
例えば、自社の新製品や新サービスが市場に出る際にはプレゼンや商品説明などを通じて顧客に知ってもらう営業活動は似ている部分の一つといえるでしょう。
さらに営業でも既存営業に似た活動をするのがラウンダーとなります。
これはラウンダーが担当する店舗は既に自社商品の納入先ということで既存顧客ともいえ、その店舗の店長や販売責任者に自社商品に関するフォローアップや彼らとの良好な関係を維持するという仕事はラウンダーの重要な業務の一つになっているためです。
もし、営業経験のある方がラウンダーの仕事に就く場合、それまでの営業経験を仕事に活かせることはたくさんあります。
その一つが顧客との良好な関係を維持するためのスキルです。
営業の仕事もラウンダーの仕事もやはり「相手」があって成り立つ業務です。
その相手に上手く接して、良好な関係を維持するための経験やスキルはそのままラウンダーでも活かせるスキルの一つです。
その際に相手のニーズや悩み事などを掴み、それらを解決するための提案を出す能力やスキルも重要となってくるでしょう。
そういったことができれば、その積み重ねでさらに深いビジネス関係を構築することができます。
あの人なら何かあった時に頼れると思ってもらえれば、自分の仕事もやりやすくなりますし、自社商品の店舗での販売にも協力的な姿勢を引き出せるのではないでしょうか。
また、新商品や自分の提案をいかに簡単でわかりやすく相手に伝えられるかといったプレゼンスキルもラウンダーの仕事に活かせます。
取引相手は自社商品の専門家でもないのであまり深い知識を必要としていませんし、また忙しいのが常です。
ですから、プレゼンの際にはなるべくわかりやすい言葉でシンプルかつ手短に伝えるスキルがあれば、一層有効となるでしょう。
ラウンダーの仕事と営業の仕事との違いで言えば、ラウンダーは現場監督のような存在に例えることができるかもしれません。
家を建てる際に、住宅展示場で好きなハウスメーカーに家の建築を依頼するケースを想定してみましょう。
その場合、まず家を建ててくれるハウスメーカーの営業担当者が設計士や下請けとなる工務店や大工さん、さらに彼らの仕事を現場でチェックし、設計図面や仕様と異なる場合は適時指示を与える現場監督の手配をしてくれます。
家の価格交渉を含めて、一定の権限がある営業担当者がお客様と交渉するのは、上記のバイヤーや仕入れ責任者と交渉する消費財メーカーの営業担当者と同じですし、図面通りの家の建築が進められているか、さらに必要に応じて指示を大工さんに現場で与える現場監督は、販売店舗で売り場担当者に指示を与えるラウンダーの仕事と非常にイメージが似ています。
ラウンダーと営業の仕事の違いを簡単にご紹介してきました。
ラウンダーは、営業の仕事ほどの裁量権限はないものの、自社の顔として小売店に対して接する必要があります。
また、売上アップに貢献した際の喜びや達成感なども感じられ、営業の仕事同様にやりがいのある仕事です。